「本を書けば、絶望している自分を神様の目で上から見れるようになる。」

「本を書くと、神様の目を手に入れることができるようになります。
神様の目とは、作者としての人格です。
夢の中では、登場している自分を、自分自身が見ていることがあります。
それと同じです。
たとえば、辛い経験をします。
あなたは、主人公として、まさに絶望のどん底にいる。
その一方で、あがきもがいている主人公の自分を
神様のように、冷静で客観的に見ている。
作者としての、もう一人のあなたがいるのです。
もがいている自分も、上の方から見ることで、
苦しみから抜け出すことができるのです」


「作家になれる3人。不器用な人、適応力のない人、風邪を引きやすい人。」

「不器用な人ほど、作家に向いています。
不器用な人は、環境の変化に適応できません。
環境の変化に取り残され、
自分と、自分を取り巻く環境の隙間の溝に落ち込んでしまいます。
なかなか適応できない居心地の悪さこそが、作家の感性なのです。
どこへ行っても環境に器用に適応できる人は、
この居心地の悪さを感じないのです。
気温が1度下がっただけで、
風邪を引いてしまうような感受性をもった人が、
本を書くことができるのです。」


「注文のない原稿は、出す当てのないラブレターと同じくらい尊い

「高校時代の書くトレーニングは、ラブレターでした。
最初のうちは、送ることができました。
脈がないと分かると、それでも諦めきれずに、
出す当てのないラブレターを書き続けました。
そして、その延長が、今に至っています。
私が今書いている本は、すべて、出す当てのないラブレターなのです。
出す当てがないラブレターになって、
ますます書くということが純粋な作業になっていきます。
注文のない原稿を書くのは、片思いの恋人にラブレターを書くのと同じくらい
純粋な行為なのです。」